aaaaa

日常、自身が抱く記憶や感情と向き合い、そのとき溢れ出す気持ちや関心事、限りある生の意味を絵画にぶつけようとしてきた。その対象としては、自然界、人間の皮膚、心の内面などがある。常にとどまることなく変化していく心の不確かさと、真正面からぶつかり絵画として残しておきたい。
人の心の内面(感情や記憶、傷、優しさ、怒り、ふるえなど)や、やがては消える人の命の存在に関心を持っている。

今を生きる自身の記憶や感情をもとに、日常が儚くも過ぎていく様や、自然界と人の存在の関係性を心象風景を通して描いている。
ベニヤ板からは木の温かみや人の皮膚を、トイレットペーパーからは生の一瞬の儚い美しさを感じ作品に用いている。
2009.1

その瞬間は、その瞬間にしか存在しない。美しい景色、そこにいた人、優しい人の温かさ。いつもの日常の風景。ちいさな傷。そこに存在していた確かなものを、私は忘れたくない。
2010.8

経験してきたはずの記憶はどんどんうすれていく。そのときどきの心の傷あとはすぐに
忘れさられてしまう。でも、ときどき今まで経験してきた記憶が溢れだす。
せめて、絵の中にはその瞬間の自分の立ち位置を残そうとうすれていく大切な景色を
描き留めようといまある場所と向き合いながら、わたしの目からうつる景色を
描いています。

日常の絵画。人と関わり、日常はそれで満ち溢れる。
同時にこころの傷や影、永遠に戻ってこないその一瞬の記憶を描き留めようとする。
生じる感情、土っぽく残る景色、過去の自分の残像ー。
今の自分だから描ける景色や環境、感じ方を大切にして表現を続けている。これからも、限りなく変化していくのだろう。
2011~2013

ガラスの破片は、人の傷ついたこころの象徴としてよく使われる。
わたしのこのくせ毛は、いつもからまっていて、まるで鳥の巣のようで人と人の関係性の中でのからまりやもつれ、こころの中の暗闇を想起させる。人の顔は、誰一人にこやかに
笑っておらずどこか違う方向を向いていて目線が合うことない。
いったい何を考えているのだろうー。
傷の痕跡は時とともに癒え、でも時にまたその蓋をあけてしまうことがある。
たしかに、傷あとは幾重にも重なって残っている。
それでもその存在のおかげで、今日もやさしくあれるのだと思う。
2014.8

日記を描くように、心象風景を描いたり、日常のこころの傷やもつれ、朽ちゆくものを
人肌を想起させるベージュ色を基調として描いてきた。
近年は、人が存在するいのちの世界や生命が循環する営みに目を向けながら制作に取り組んでいる。
2015~2016

ずっと油彩に親しんできたが、田畑や自然、日本のよさに触れるにつれ、自然本来の豊かさや美しさを感じるようになった。そこから天然素材を画材として用いるようになり、その季節にしか表れない素材の美しさにも惹きつけられている。

日記を描くように心象風景を描いたり、日常のこころの傷やもつれ、朽ちゆくものをガラスの破片やくせ毛、人のシルエットなどを通し人肌を想起させる色を基調に描いてきた。
最近は、土や自然に触れる体験から、作品にも草木や土染めをした下地の布へ土や木炭、岩絵の具などの主に天然素材を画材として用い描いている。
人肌や針の縫い目、傷あとから自然界に在る人の存在を揺れる不安定な繊細なタッチで描いている。
2017.9